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京都家庭裁判所 昭和36年(家イ)571号 審判

本籍 大韓民国 住所 京都市左京区

申立人 李貞蘭(仮名) 外一名

(本籍並びに住所 京都市伏見区)

右両名法定代理人後見人 平山良子(仮名)

(本籍並びに住所 右後見人に同じ)

相手方 山田美子(仮名)

主文

相手方は申立人両名を認知する。

理由

申立人両名申立代理人は、主文同旨の審判を求め、その原因事実として、申立人両名は、真実は相手方が分娩したものであつて、相手方は昭和二十一年二月頃より朝鮮に本籍を有する李基全と関係を結び、爾来、同人と性的交渉を続けていたところ、昭和二十二年四月二十五日申立人朴負蘭を京都市中京区○○○上る産婦人科○○病院において分娩し、次いで、昭和二十三月七月六日同病院で申立人季貞愛を分娩したものである。しかるところ、相手方は、申立人両名を分娩しておきながら、その出生届を肯んじないので、申立外李基全が、その内縁の妻金次美との間にできた子の如く仮装して、国籍を大韓民国となし、外国登録を済ませたのである。その後右金次美は、昭和三十年三月三十日死亡し、父季基全は、昭和三十六年七月十二日に死亡した。よつて申立人両名は、真実の母である相手方に対し認知を求めるため、本申立に及んだ旨陳述した。本件調停委員会において、当事者間に主文と同旨の合意が成立し、その原因事実についても当事者間に争がない。

よつて審案するに、記録添附の申立人両名の外国人登録済証明書および医師○○○作成の昭和三十六年八月十日付証明書並びに証人田村スミ、同佐藤仙一の各証言、相手方本人尋問の結果等を綜合してみても、申立人両名は相手方が分娩したものであることを認めるに足り、申立人両名の陳述はすべて真実であると考える。よつて、調停委員の意見を聴き、本件申立を正当として、これを認容し、家事審判法第二三条に則り主文のとおり審判する。

(家事審判官 西村実太郎)

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